或る闘病記

生きるって楽しい。

これまでと、これからと

 

 こんばんは。

 

 体調が回復したので更新します。たくさんの方にメッセージをいただいていたので、今日はずっとその返信をしてました。ベッドで横になる他ないので、別に苦でもなんでもないですし、やっぱりなにか言葉をかけて貰えるだけで全然気の持ちようが違いますね。かける言葉も見つからないとか言う人多いですが、言葉は伝えてなんぼです。貯金してどないすんねん。

 

 言葉には言霊があると僕は信じていて、それは非科学的なものではあるけれど、この世にはどうも科学1本では証明できないような力があるし、だいたいスポーツにせよ何にせよ、持てる力を全て出し切るためには声援が必要なのだから、それは単純に闘病にだって同じことが言えるのです。頑張っている人に声援を送ることの一体何が行けないのでしょう? スポーツをやったことの無い人がスポーツ選手を応援してもいいように、健常者が病人を全力で応援したっていいんですよ。死に物狂いのスポーツ選手に言いますか?「かける言葉も見つからない」なんて...笑

 

 

追記:TwitterでいただいたDMは数百件近くあるので読んだら順にハートで既読をつけて、全部は返信できてないですが2割くらい返しています。既読ついてなかったらもう少し待ってください。リプライのほうは反応したいのですが、全部に反応するとTLが汚れてしまうTwitterのクソ仕様のせいで、一部ファボにとどめていますがこれも全部見てますまじで。ありがとうございます。Instagram(鍵)とLINEは一人ずつ丁寧に返しているのでめっちゃ時間かかってます、すみません。

 

 

そうそう、「体力が回復した」と書いたのですが、これは別に手放しに喜べることでもなんでもないです。強いて言うなら、この移植後に体調が悪くないというのは「生き抜くための最低条件」です。僕は最低条件のところで、何とかスマホをもじもじ触れる状態、という感じでしょうか。

 

 

さてさて。

 

 

 TwitterInstagramを見て驚いたのですが、もう桜が既に満開を迎えてるんですね。ちょっと今年早すぎませんか? とても同じ時間のこの世界のこととは思えないです。僕の時計は2月で止まったままなので…笑 桜の散る頃に亡くなってしまうのかなと思っていた自分にとっては、桜が先に散ってしまったのを見ながら、なんとも言えない複雑な気持ちになっています。

 

 桜...なんだかんだ僕は繰り返される1年の中で、桜の咲くそのたった2週間足らずの特別な時間がいちばん好きです。よく桜と自分自身の命を突き合わせて考えることがあって、あんまりここでそのことについて書くと闘病記の趣旨と異なって堅苦しいのでやめておきますが、ちょうど4年前に書いたもうひとつのブログの記事を貼っておくので、また興味があれば読んでみてください。

 

yoshinashigoto.hatenablog.jp

 

 

さて、あんまり前置きが長いとこの辺で読むのやめちゃう方が多くなるので前座はこの辺まででにしておきます。

 

 今日は全くお伝えできていなかった僕の病状とその治療法について書いていこうかな〜と思います。余命宣告だとか大量出血だとか、そういう怖い言葉ばかり並べてドドドドドっと報告してしまって、今一体どんな病状であるのか、そしてそれに対してどのような闘い方をしているのかということについては一切触れていなかった(やや煽り気味だった)と思うので、ここで整理しておこうと思います。祈ってもらうにも、具体性が必要と言いますし、やっぱり気になりますよね、気になりませんか? 僕ならめちゃくちゃ気になります。

 

 だって白血病の病状って(重い病気であることに変わりはないのですが)千差万別で、移植をしなくても良いものから移植すらできないほど深刻なものまであるので、やっぱり個々に対して説明が必要だと思うんです。事実、ほぼ通院だけで回復できるような事例もありますし、大病であったとしても池江選手のようにフルパワーで白血病を乗り越えて行かれなお第一線で活躍される患者さんもいます。その全てが白血病であって、その全てに異なる遺伝子変異と病状、治療法、体調、体力(耐力)そして精神的な向き合い方が存在しているのです。

 

 ただ僕がここでお伝えするのは、「僕の白血病」についてである、ということを念頭においてください。白血病の全てがこれほどしんどくはないし、同時に、白血病患者の全てがこれほど(たくさんの人に応援されて)常に前向きでいられる力を与えられているわけでもない、ということを。僕のことを一事例として知ってもらうことで、僕以外の白血病患者、ひいてはがん患者のことをもっと理解して欲しい、そういう思いで書いていきます。

 

 

では本題へ。

 

  • こいつ一体どこまで深刻な病状なの?

 

単刀直入に、まずは製品カタログみたいな感じで主要諸元(笑)を書いていきますね。難しいことが嫌いな人は次のタイトルコールまで読み飛ばしてください。

 

症例

 

年齢:23歳5ヶ月 男性

病名:急性骨髄性白血病(M7)

 

既往歴:

2016.11 縦隔原発胚細胞腫瘍

2017.2   同寛解

2017.3   摘出手術

2017.5   退院

 

2018.6   B細胞性急性リンパ性白血病 (B-ALL)

2018.10 骨髄移植(骨髄バンク経由)

2018.11 退院

 

2019.4  B細胞性急性リンパ性白血病 (B-ALL) 再発

2019.5. 末梢血幹細胞移植(ハプロ移植)

2019.8  退院

2019.10 免疫不全による感染症のため入院

2019.12 退院

2019.12 再入院・B-ALL再発

2020.2 癌が消える(詳細はこちら)→ 退院

 

2020.12 急性骨髄性白血病 (M7) 再発

2021.2 治療説明及び余命宣告

2021.2.28 免疫不全の感染症により緊急入院

2021.3 感染症治療→そのまま移植前処置へ移行

2021.3.29 末梢血幹細胞移植(ハプロ移植)

 

 

ざっとこれが僕の病歴です。もう少し込み入った細かい部分や事情はnoteに書いたので、興味がある人だけ覗いてください。

note.com

 


では今日のメインへ。

 

  • そもそも、ハプロ移植とは?

 

 応援してくれるのはとっても嬉しいんですが、ハプロ移植のハの字も知らないまま応援してくれてる方、結構いるので、ちゃんとしっかり書いておきますね。これは知らない皆さんが悪いとかでは絶対絶対、決してそんなことはなくて(ハプロ移植なんて言葉、医学生でも知らない人間が大半なので!)完全に僕の説明不足その一点です。じゃあ一体ハプロって何やねん??

 

 

  • そもそも骨髄移植って何?

 

そうですここからですよね。まずは。骨髄移植というのは、造血幹細胞移植のひとつです。

  

  • 造血幹細胞移植って何?

 

簡単に言うと、白血病というのは血液が癌化してしまって、正常な血液を自分で生産できなくなってしまった状態のことです。だから正常な血液を作っている人(ドナーさん)の「造血幹細胞=血を作る元となる細胞」を患者の体内に注入して、ドナーさんの正常な血液を患者の体内で作っちゃおう、という考えに基づいて細胞を移植することです。

 

造血幹細胞移植には主に次の3つがあります。

 

①骨髄移植

昔からの方法。基本は親族がドナーとなるが、親族に適合者がいなければ骨髄バンクを通してドナーを探します。骨髄中にあるドナーの骨髄液を抜き、患者に注入する、というものです。臓器の移植であれば、そんなことをすると「こいつはぁ侵入者やんけ!」となる場合が多いですが、血液の移植はそのリスクが少ないです。(まぁ普通に拒否反応はありますが)

ただ、骨髄移植は、ドナーから骨髄液を抜くというのが大変なので、なかなかドナー数も伸びませんでした。

 

②臍帯血移植

そこで画期的な方法が誕生します。「臍帯血移植」です。そもそも造血幹細胞は、骨髄にのみ存在すると思われていました。ところが「臍帯血」と呼ばれる、赤ちゃんのへその緒や胎盤の中に含まれている血液にも存在することが明らかになりました。これが「臍帯血移植」です。(臍帯血は出産時に取れるので、ぜひ臍帯血を血液疾患患者のために提供している産婦人科でお産をしてくださると助かります!)

 

③末梢血幹細胞移植  (末梢血:普通に血管に流れている血液)

さらに近年になり、「実は普通の人の血管内にも造血幹細胞が存在してるやないか!」となったわけです。今となっては技術革新も後押しし、薬を入れて末梢血中にさらに造血幹細胞が出てくるように仕向け、そのまま献血のように普通に血を抜いて、造血幹細胞だけを取り、残りを戻す、という画期的な方法で造血幹細胞が採取できるようになりました。これが「末梢血幹細胞移植」です。

 

そして僕が先日行ったのが、これら3つのうちの③末梢血幹細胞移植と言うわけです。

 

ただややこしいのは、これら3つは造血幹細胞移植の「採取方法」に着目した命名だということです。僕が行ったのは、この末梢血幹細胞移植による「ハプロ移植」

 

はぁ?

 つまり、「ハプロ移植」と呼ばれるやつを、ドナーさんの末梢血から造血幹細胞を抜く形(末梢血幹細胞移植)でやりましたよ、と言うことです。ふむ。

 

じゃあやっぱりハプロ移植ってなんやねん!!!

 

 

 

ハプロ=ハプロアイデンティカル、の略です。「半合致」を意味します。

ハプロ移植は、その正式名称を「HLA半合致同種造血幹細胞移植方法」と言います。

このHLAは白血球の型のことで、本来この型を合わせた上(輸血の時の赤血球のイメージ)で移植をします(HLA適合同種造血幹細胞移植)が、そこをあえて白血球の型を半分くらいずらして無理矢理移植しちゃおう、と言う荒技の移植方法なのです。

 

  • ずらせばずらすほど何がいい? 何が悪い?

いいこと:ドナーさんの細胞が僕の白血病細胞を攻撃する力が強くなります(GVL効果)

悪いこと:ドナーさんの細胞が僕のあらゆる臓器を攻撃する力が強くなります(GVHD

 

つまりこの塩梅で、超超超ハイリスクハイリターンの移植を目指した最高強度の移植治療が、このハプロ移植というわけです。

 

そしてTwitterで「移植後の2週間が勝負だ」と書いたのは、紛れもなく今回の移植の運命が、この2週間での生着(=ドナーさんの細胞が僕の体内で血液を作り出してくれるかどうか)にかかっている と言うことです。そしてその間、強烈なGVHDで亡くなってしまう可能性も、生着せずに白血球がゼロになって感染を起こして死ぬ可能性も(というか、そういった可能性の方が)かなり大きい、と言うわけです。

 

 深刻ですよね(笑)

 

ここまで書いたので多分何となくわかってくれたんじゃないかな、と思います。僕のこれまでと、それからこれからを。ざっくり、とですが。

 

もうこれ以上書くと読んでくれなくなるしやめます(笑)

僕も疲れたので今日はこの辺で。

 

もっと簡単に知りたいなという方はこちらにもさらっと書いてありました、というオチです。去年書いたんだっけな。「ハプロ移植ってな〜に」ってところ、2分ほどで読めます。

 

fight.hatenablog.jp

 

 

 ちょっと堅苦しい闘病記になっちゃいましたね。すみません。まじで固いと読んでくれなくなるのはわかってるんですが、ついつい書き始めるとヒートアップしてしまう癖があります。

 中和と言ってはあれなんですが、この闘病記を投稿したツイートのリプライに、今年(じゃなくてもいいや)の桜の写真で「綺麗に撮れたよ!」「見せたい!」というのがあればバンバン貼っていってください。とはいえバンバン貼られすぎても品がないのでだいぶハードルを上げるために僕の渾身の一枚も貼っておきますね(笑)

 

一昨年行った京都随一の桜の名所、背割堤です。

(これでまだ4分咲きでした。関西圏の皆さんでまだ行ったことのない人はマジで行った方がいいですよ。)

 

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では! おやすみなさい。

桜の夢でも見ます!