或る闘病記

生きるって楽しい。

B-ALL

 

 皆さんこんばんは!

 僕はここ1ヶ月で体重が9キロ落ち、再び腹筋が綺麗に割れてきました! ライザップ! 

 

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 ちなみに京大病院のリハビリルームには InBody770 とかいう超お高い体組成計があります。

 

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こちらの機械、お値段税込330万円です。 330万円ですよ!

 

 というわけで計測してもらいました。結果はこちら!

 

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体重52.1kg に対して 筋肉量 45.3kg、

体脂肪率は7.8%でした! 骨格筋率51%!

割と優秀やんけ!

(体型評価は「筋肉型スリム」でした。細マッチョって書けよ。)

 

まぁでも序盤です。夏本番に向けて、ここから仕上げていきます。腹直筋と大胸筋と広背筋メインでいきます。

リハビリルームでV字腹筋とか懸垂とかしてるやつがいたら僕です。ほっといてください。

 

 

さてさて。

 

 正式に病名が決定したので、これ以降は現在の病状と共に(割と真面目に)お伝えしていこうと思います。

 

 以前の闘病記の記事では、僕の病気は「バーキットリンパ腫」だと書きました。「バーキットリンパ腫」というのはある程度成熟したB細胞が癌化して起こるものです。

 

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 一方、それより手前の若い状態で癌化している場合は、「リンパ腫」ではなく「白血病」になります。どうやら僕は「白血病」みたいです。

 ま、どうせなら「白血病」の方が名前カッコええやん(笑)

 

 

 詳しくは過去の記事をどうぞ。

fight.hatenablog.jp

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ちなみに、病理検査の結果はこんな感じでした。

 

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「再構成を認めない」

 

 「遺伝子再構成」とは、抗体の遺伝子(免疫グロブリン)の組換えのことです。今から猿でも分かるように説明します。

 

 

〜猿でも分かる! これが「遺伝子再構成」〜

 

 そもそも、外界から侵入してくる病原体は無数に存在しているにもかかわらず、どうして私達はそれらに対抗する「抗体」を用意することができるのでしょうか。この鍵を握るのが、「遺伝子再構成(遺伝子再編成)」です。

 

 

遺伝子の再構成について話す前に、まず順を追って「B細胞」から話します。B細胞のBは “Bone marrow” 、すなわち「骨髄」からきています。B細胞は血液中を流れる白血球のうち「リンパ球」と呼ばれるもののひとつで、骨髄で作られます。リンパ球のおよそ20〜40%を占めます。

 

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 B細胞の主な働きは、「外敵(病原体)と闘う抗体を作ること」です。このとき、ひとつのB細胞ではひとつの抗体しか作れないので、抗体の遺伝子を組み替えて病原体に備えます。これが「遺伝子再構成」で、これにより数億種類の抗体を生産することが可能になるのです。

 

 

 さらに具体的な話をすると、B細胞の表面には「病原体」を認識する「抗原レセプター」があります。これが 「免疫グロブリン」です。つまり「免疫グロブリン」は、ひとつに対して一種類の病原体しか認識できない、ということになります。そこで「免疫グロブリン遺伝子」の「遺伝子再構成」によって、様々な種類の免疫グロブリンを産み出し、数ある病原体に対抗してやろう、というのが「遺伝子再構成」の趣旨なわけです。

 

 ちなみに、この「遺伝子再構成」のメカニズムを解明したのが、かの有名な利根川進博士で、1987年にノーベル賞を受賞しています。この発見は、20世紀最大の生物学的発見と高く評価されています。もちろんもちろん京大卒です。

 

 

さらに余談ですが、B細胞の一部は「記憶細胞」として残ることも知られています。一旦病原体を退治した後も、一部のB細胞は記憶細胞として残り、次回同じ病原体が侵入してきたときに素早く攻撃できるように備えているのです。これが、いわゆる「免疫が付く」というやつです。有名な話ですね。予防接種も、この免疫記憶を利用していますが、これはB細胞由来の話だったということですね。

 

 

 さてさて。このへんで話を戻します。

 

 

「再構成を認めない」とはどういうことか。

つまり、僕の癌化したB細胞の表面にある「免疫グロブリン遺伝子」に、再構成は見られなかったよ、ということです。

 

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 免疫グロブリン遺伝子の再構成は、B細胞の成熟(分化)と共に数段階に分けて起こります(この部分はマジでノーベル賞級に難しいので割愛します)。そして、その数段階のどれも起こっていなかったよ、ということなんです。つまり、癌化したB細胞は若かった。ということは、成熟B細胞の癌化によって起こる「バーキットリンパ腫」ではなく、さらに若い段階のB細胞性の病気である、と結論付けられるのです。

 

 

 

 すると病名はこうなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「急性リンパ性白血病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えらいカッコええ名前やんけ(笑)

 

 

 

ちなみに、もう少し病名を具体的に言うと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ph(-) B-ALL

 

 

フィラデルフィア染色体陰性・

前駆B細胞性急性リンパ性白血病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっとカッコええやんけ(笑)

 こんなカッコええ病名ある?

 

 

 

 

 

注: フィラデルフィア染色体

9番染色体と22番染色体の相互転座によって形成される異常染色体。これが陽性(存在)の場合、長期無病生存率は10%と言われている。急性リンパ性白血病においては15〜30%の患者にみられる、最大の予後不良因子。陰性やったし取り敢えず安心。

 

 

 

  ということで、「バーキットリンパ腫」じゃなかったので、この前言ってた「CODOX-M/IVAC療法」はCODOX-Mを終えた段階で一旦打ち切り、次の治療に入りました(じゃあ、このCODOX-Mは無駄だったのか? というとそうでもなく、リンパ腫であれ白血病であれB細胞性であることに変わりはないので、しっかり効いてくれました)。

 

 新しい療法名は、「B-ALL 213」です。

 

 (えらいカッコ悪い名前やんけ)

 

 

ちなみに、このB-ALL 213 (正式にはJALSG Ph(-) B-ALL213) 、つい2年ほど前まで国内臨床試験での安全確認が行われていたほどの新しい療法で、まさに最先端の医療って感じです。

 

使用する主な薬剤はキロサイド、エトポシド、デキサート、ロイナーゼ あたりです。

 

 僕はこれまでの治療でCR(Complete remission, 骨髄の完全寛解)が得られたので、ここからB-ALL 213のレジメンに従って数ヶ月間の地固め療法に入り、骨髄移植を待ちます。

 

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 とりあえず治療は上手く進んでいます。寛解導入療法は今週で終わりなので、とりあえず何日間か家に帰れるかな〜。湯船に浸かりたい!

 

 7月の空気を吸わずに7月最後の日を迎えました。とりあえず今週頑張ろ。週末何しようかな〜。

 

 

まだ生きてるぞ〜(笑)

 

 

 

最後に利根川進博士の言葉を。

 

捨てることが、熱意を生み出す。

人生にとって最も大切なのは、その時々の何が最も重要な事柄であるかをよく考え、そこに全エネルギーを集中させ、その他のことは切り捨てること。

何をやるかより、何をやらないかが重要だ。

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 おやすみなさい!