或る闘病記

生きるって楽しい。

パワー

 

 あまり心の整理がつかないまま文章を書くと表現が拙くなって、余計に伝わらなくなります。

 

 今日は多分、そんな拙いやつです。あんまりパワーがない文章かな。

 

 

 

 ドナーが見つかり、9月20日に退院しました。

そして今日、骨髄移植のために再入院しました。

 

 

 ちょうど2週間。

たくさんの人に会って、色んなところに行って、美味しいもんいっぱい食べて、幸せな2週間でした。

 

 数ヶ月ぶりに講義にも出られて、みんな暖かく声かけてくれて、本当に嬉しかったです。

 

 

 そして今日。

 

入院してすぐ、午前中に眼科で検査を受けました。

というのも、6月28日の入院時に眼底から多量の出血があり、視野がぼやけていたからです。最近は視野も安定してきていたので、気にもかけていませんでした。

 

 検査後、医師に呼ばれて診察室に入ると、開口一番こう言われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご両親は来られていますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、あかん。

嘘やろ?

 

 

 

親と一緒に来てるかどうか聞かれるときは、大体ろくなことないです。

 

 

「眼底の出血は綺麗に無くなったんですけどね、ちょっと右目のここ . . .」

 

 

医師の指差すその先には、明らかにおかしな部分がありました。

 

 

網膜剥離、だそうです。

 

 

は?

 

 

「基本的にこの大きさだと手術になるんですけど、血液内科の先生と相談しますね」

 

 

 

別に網膜剥離なんて珍しくない。

命にも関わらない。

そして手術で簡単に治る。

何も問題はない。

 

僕自身が今月移植を控えた患者であることを除けば、ですが。

 

 

移植後は1年以上にわたって免疫抑制剤を使用するので、その期間手術はできません。ところが1年手術できず放っておけば完全に失明します。

 

 

手術するなら、今しかない。

 

「明日やってください」と言いました。

 

 

 

血液内科入院翌日に眼科へ転科。

主治医も看護師も大慌てで、とにかく手術最優先で予定を変更してくれました。

 

 

入院初日から精神ズタボロにやられました。

 

 

 

が。

 

 

今から4時間ほど前、17時頃、僕と話してた看護師さんのピッチが鳴ります。

 

「もしもし、、、はい、、、そうです、《俺》さん、、、はい、、、え、手術をしないかもしれない、、、?」

 

 

 

は?

 

 

 

 

看護師さんも僕も目が点になりました。とりあえず呼び出しされたので、眼科に向かいます。さっきとは違う医師が対応してくれました。

 

網膜剥離は、軽度の場合は網膜裂孔と言って、レーザーで焼くだけで大丈夫な場合もあるんやけど」

 

 

あ、何か聞いたことある。

 

 

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「とりあえず同意書サインしてくれたら、レーザーの機械でいけるかやってみるわ、無理やったら明日手術やな」

 

 

雑 of 雑。

とりあえずサイン。

レーザー室に移動。

視力測る装置みたいなやつの前に座らされる。

 

 

「あ、行けそうやなこれ、、、じゃあやっていきますよ〜」

 

 

 

 訳が分からないまま座っていると、突然緑色の鋭い閃光が飛び込んできました。熱い、目の奥が焼ける感じ。殆ど説明もなくやられてホンマに怖かったです。100回くらいレーザー照射されてる間、身動きも取れず、目も眩んできて、痛くはないけど、とにかく恐ろしい。これ、今、目動かしたらどうなるん?変な汗出てくる。時間がゆっくりと過ぎる。

 

 

「う〜ん、もうええか。はい、終わり」

 

 

 

何がもうええかやねん💢

お前は慣れてることやしやられたこともないやろうけど俺にとっては初めてで今日宣告されたとこやし治療方知ってから5分後にやられたんやぞ💢

 

 

 

(怖かったし言いたいこといっぱいあったけど治してもらったことに変わりはないのでちゃんとお礼だけ言って帰ってきました。)

 

 

 

 

 でも何でよりにもよってこのタイミングなんでしょうね。7月の検査では見当たらず、この移植前の大事な時期に、しかも今の治療とは全く関係なく、網膜裂孔。あわや失明。

 

 

 

運命って不思議なもんだなぁと思います。

病弱やけど、いつもギリギリで救われてる。

 

 

人生万事、塞翁が馬。

 

 

 ↑これでまとめたつもりやったけど見返したら全然まとまってへんやんけ。最後に面白エピソード書いといたろ!

 

 

(アンタの闘病記長いし最後まで読んでない!って友達に言われたので、最後の方に面白いことを書くようにしていきます。読めよ!)

 

 

今日はカテーテルのお話。

 

じゃん!

 

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これは僕の腕です。(じゃなかったら誰の腕やねん)

 

これは抹消挿入中心静脈カテーテルです。みんなピック(PICC:peripherally inserted central catheter) と呼んでいます。ここから抗がん剤やその他の点滴をしたり、採血したりもできます。普通は首から直接入れるんですが、僕は腕の抹消静脈から脇の下を通して中心静脈へ入れてます。そんな40cmも血管内にチューブ入れてて痛くないの?と言われますが殆ど痛くないです。最近は感染予防目的で、腕からが主流になりつつあります。

 

 

 そして写真のカテーテルは、僕のために京大病院が導入しました。

 

 

え?

凄くね?笑

 

 

僕が今着けてるカテーテルは株式会社メディコンが2016年に発売したPowerPICC(パワーピック)で、5Frのトリプルルーメンのやつです(いちばん太くて3本のやつ)

 

 

 僕は入院当初首から入らなくて、それ以降腕から入れるダブルルーメンのPICCを使っていましたが、今回の移植ではトリプルルーメンのPICCが必要になり、導入してもらいました。

 

これが京大病院がこれまで使ってきたカテーテル

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そしてこれが今回僕のために導入していただいたカテーテル

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 今日は導入初日だったので、株式会社メディコンの方も(300万円の最新小型エコーを携えて)来ていただいて、エコーを見ながら医師達と一緒にワイワイ言いつつ挿入してくれました。

 

 そういえば看護師向けに説明会もしてくださったそうで。ありがたい、、、

 

 

と、今日は

・緊急手術急遽中止(これはパワーワード

・京大病院を動かす(これはパワーピック)

の二本立てでした!

 

 

心配してくれた人ありがとう!

その心配は無駄! だいぶ無駄!

最初に「今日はパワーのない文章」って書いたのも嘘!

本日は弟の誕生日!

生まれてきてくれてありがとう!

おやすみなさい!!

 

 

 

近況報告

お久しぶりです。

 

1ヶ月以上更新をサボりました。しんどかったわけじゃないです。単に忙しかっただけです。大学からレポートが大量に出ていたので許してください。

結局、この2ヶ月で

 

 Word形式のレポートを30枚

手書きでのレポートを55枚

 

合わせて85枚のレポートを病院で書き上げました。レポート職人かよ。疲れた。でも可愛い看護師さん達が応援してくれるので割と頑張れました。3ヶ月もいると普通に冗談言い合う仲です。他の患者さんとも凄く仲良くなりました。

 

 

 

 長らく更新しない間に、治療の方はどんどん進んでいます。

 寛解導入療法を2コース行い、完全寛解に至り、それから地固め療法を0.5コース行って先週打ち切りました。正直、しんどかったです。副作用による味覚異常と色覚異常、口内のただれ、抜毛、皮膚障害、手足の痺れ、頭痛と吐き気と壊れた胃腸。

 

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 そんな治療も今日の髄注を終えてひと段落しました。髄注ってのは背中に3mmくらいの針を刺して背骨の中の髄液を抜き(検査用)、そこに抗がん剤を注入するやつです。

 

 といってもそれを除くと今週は検査ばかりで、ほとんど治療をしていません。歯を抜いたくらいですね。歯。

 

 

 

 

 

 

 

 

 は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すみませんしょーもないことばかり言うて。通常運転です。

 

 親知らずを抜いてもらいました。2本同時に。

 京大病院で親知らず抜くなんてブルジョアですよね。予想通りメチャクチャ上手かったです。ものの30秒で抜いてくれます。

 

腫れる? 親知らずって抜いたとき腫れるんですか? 二本抜いても腫れませんよ。京大病院ならね。

 

 病棟に帰って普通に過ごしてたら、看護師さんが「私、親知らず抜いたとき1週間寝込んだんですよ〜」って両頬抑えながら言ってきました。その報告いらんやろ💢(可愛い)

 別の看護師さんは抜いたところに挟む丸い綿球を「マシュマロです! おかわり自由ですよ〜」って渡してきました。「おいしい?」って美味しいわけないやろ脱脂綿やぞ意味分からん💢(可愛い)

 

皆さんも親知らずを抜いてほしいときは京大病院に電話しましょう。(絶対断られます)

 

 

 

 ところで!

 明日退院することになりました。

 

移植前退院というやつです。これから食事制限もあるし、しっかり気分転換して美味しいもの食べてきてね、という期間です。2週間弱。

 

 

移植?

 

 

そうです。ドナーさんが決まりました。(移植日も決まりましたが規定上言えません。前々から気になってたんですが、間違いなくこのブログ載せてるTwitterは京大病院の関係者に監視されてます。こわい)

 

 骨髄バンク登録から2ヶ月のスピード決定。入院してまだ3ヶ月経ってません。とにかく本当に幸運でした。

 

 

来月には再入院して、京大病院に3床しかないスーパークリーンルームに入ります。NASA基準でクラス100規格の部屋です。

 

 クラス100とは、大気1立方フィート(28.8L)中に0.5ミクロン以上の微粒子が100個以下しか存在していない状態を表します。外気はクラス100万〜、大都市だとクラス500万なので、1万分の1以下ですね。手術室でもクラス5万くらいなので、クラス100なんていうと細菌なんて皆無です。今いる大部屋も食品工場並みですが、今度は精密機械工場並みのクリーン度ってことですね。

 

 面会は家族のみ。ベッドには医師と看護師しか近づけません。実質的な面会謝絶です。部屋に入ったらまた写真撮ってアップしますね。詳しくはそこで書きます。

 

 いやスマホは持って入れるんかい!って思うでしょ。持って入れますよ。心細いので連絡してね。個室なんでいつ電話かけてきてくれても大丈夫です。

 

 

 移植の前処置では、放射線治療と、これまでの治療の数倍キツい抗がん剤投与を行います。どれだけ耐えられるか。少し不安です。

 

 

 まぁ考えたって仕方ないので!

 なるようになる!

 美味しいもんいっぱい食べよ。

 

とりあえず明日のお昼は1300円の親子丼食べてきます。病院の近くにあって、ずっと行きたかったやつ。看護師さんも「私本当に頑張った日はご褒美にこれ食べる〜」って言ってました。ブルジョアの食生活しとるなぁ💢(可愛い)

 

 

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 見たら分かる美味いやつやん!

もう生卵なんか一年間食べられへんからね〜。

 

 

  明日以降ご飯のお誘い待ってます。払わせたりしない(寧ろ奢る方が多い)から気軽に誘ってね。

 それでは! おやすみなさい!

 

Summer!

 

 

夏休み満喫中の皆さんこんばんは!

 レポートをまだ10個残した大学生が、今夜もテンション高めでお送りしていきます!

 手持ち花火でレポート全部燃やしてやりたい。

 

 金曜夜から今朝までの外泊は、とても満喫しました。36日ぶりの外出でした。家に着いて、自分の部屋に戻って、あぁ夏が来たんだ!とか思って、泣いてしまいました。

 

 今日はそんな、僕の短い「夏休み」について書くので(闘病記としては)あまり面白くないです。闘病記というよりただの日記です。まぁ普通にいいこと書いてるんやけどね。最後までお付き合いを。

 

 

 とりあえず、外泊中何をしたのか、夏休みの小学生の日記みたいに書いていきます。

 

 

 

 8月3日 金曜日!

 

 17時に終わる予定だった輸血が19時まで伸びました。おかげで高校の担任に会う約束してた予定が吹っ飛びました。悲しい。

 

 19時に病院を出て、帽子を買いに行きました。ニットやと暑いし、キャップやと禿げてるん見えるし、どうしようかなと思ったら、意外と自分がハット似合うことに気付きました。そんな感じの人河原町にいっぱいいるやんって親に言われました。それ褒めてるんかな。

 

 

 帽子買ったあとは公開初日のミッション・インポッシブル/フォールアウト見ました。個人的に、今作はシリーズ史上最高やと思います。大満足。夜中の2時に帰宅。

 

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8月4日 土曜日!

 

 取り敢えず毎日病院に戻ってバイタルチェックしないといけないので、戻りました。マイカーのRX-8を久しぶりに病院まで運転してあげました。

 

病院で2時間輸血した後、陸上をちょこっと教えさせてもらってる高校に、恩師と生徒達の顔を見に会いに行きました。暑すぎて倒れそうやったデ。

 

 お昼は、高校時代の先輩後輩達とポムの樹でオムライスを食べた後にカッコつけて奢りました。逆、逆。俺が奢られる方やって。あいつら当たり前みたいな顔しやがって!(悪口)

 

 

 

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 おやつに鎌倉パスタ食べて、(食べすぎ)

 

 それから高校時代の同級生3人で河原町でタイ料理食べに行きました。熱帯食堂ってとこです。むっちゃ美味しかった〜。タイのビール美味いな。40日ぶりの酒、ホンマに泣きそうになった。

 

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 酔いを醒ましに鴨川納涼も満喫しました。今年初めてのお祭り。

 

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 土曜日の最後は、中学時代の友人とドライブしました。サプライズで友人父のランボルギーニにも乗せてもらいました。阪神高速8号を最速270キロ。オープンカーなので髪の毛なくなるかと思いました。お値段3500万円。素晴らしいよね、獣のようなV12エンジンのサウンド。動画もあるけど自主規制(笑)

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 (画像は友人のインスタ拝借しました。カッコ良すぎ。シザーズドアと言って、ドアが上に開きます。)

 

 

 

 

8月5日 日曜日!

 

朝5時に起きて洗車しました。洗車職人の朝は早いよ。ピカピカです。近所迷惑。

 

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 そのあと病院に戻ると、同じ車が!

僕は考え方が小学生なので隣に停めます。

 

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こんな感じでアホなことしてたら、病室に戻る手前で、案の定、元気よく嘔吐しました。まぁ5時に起きて洗車した後に朝飯たらふく食べたら誰でも吐くよね(今日この件で看護師さんにメッチャ笑われました)

 

ということで、体調の悪さと相談して、泣く泣く日曜日の予定を全てキャンセルすることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というのは嘘です。

 葛藤。

 

〜 俺の脳内 〜

 悪魔「ここで予定キャンセルせず体調壊したとしても、後悔するのは1日だけ。キャンセルしてしまったら、次の外泊まで1ヶ月後悔するわよ。」

 天使「遊べよバカヤロウ!」

 

 

 

 ということで、主治医が当直じゃないのをいいことに、サラッと病院を後にしました。遊びます。

 

 

 

 

 お昼は、高校の後輩達とラーメン。四条烏丸にある「すがり」です。美味しかった。そのあと、足りずにマクド。(食べすぎ)(そんなんするから吐くねん)(またカッコつけて奢る)

 

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 で、お次はずっと見たかった劇場版「コード・ブルー」。今回の外泊でいちばん楽しみやったやつです。もちろんドラマはシーズン1から3まで全話見てますよ。

 

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 いやぁ、素晴らしかった。確かにストーリーは物足りない部分もあったけれど、総合的に良かったです。やっぱり、患者にしか分からないことってあるんですよ。このコード・ブルーは、その繊細な部分をちゃんと描いてくれてるんです。だから、どうしても人一倍、感情移入してしまうんですよね〜。感想は後ほど。

 

 

 さて、そのあと、コード・ブルーに付き合ってくれた友人と美味しいアイス食べて、入院中読む用の本を探しに書店をウロウロして、最後は居酒屋で飲みました。美味しすぎて写真撮ってないんやけど。鱧の天ぷらと辛口の日本酒、最高。The・京都の夏。

 

  夜の帳も降りたので、河原町付近まで親父のオープンカーで迎えにきてもらって、酔いをさましました。

 

 

 絵に描いたような夏休みじゃない?笑

みんな俺のワガママに付き合ってくれて本当にありがとう。幸せ者です。

 

 

 ちなみに、そんなふうに2日間遊びまくったせいなんか、よく分からないんですが、今日は朝から体調崩しまくっててヤバいです。担当医曰く「バカヤロウ」。

 

 

 

 

  ここまで闘病記らしいこと一切書いてないんで、コード・ブルーの名言でも書いときます。

 

 

 

 

 

 

 

「大切な人間に、胸を張って大切だと言えることが、いかに尊いものなのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山Pが言ってました。

 

想いは、言葉にしたって半分も伝わらないんだ、と。

まぁ、あそこでボロボロに泣いちゃいましたね。

(というか、山Pのセリフの後にミスチルHANABIが流れたら、どんなセリフでも感動的になるんですよ。仮にセリフが「食いしん坊、万歳!」でも、直後にHANABIのイントロ来たら、泣けます)

 

 そろそろ脱線してきたんでやめときます。

 

(「お前がふざけて書いてるやつ、元気なのはいいけど半分くらいスベってるぞ」って友人に怒られました。知ってます)

 

 

何の話やっけ、

 

 

そう、想いなんてものは、いくら言葉にしたって、そのまま伝えられるなんてことはないんですよ。

 でも、全て伝わらなくてもいいと僕は思うんです。

 言葉のほんの一部分だけが、伝わればいい。そう思います。

 ほんの一部分だったとしても、人を大きく動かすことはできる。言葉には、そういう力があるんです。

 

僕が闘病記を続ける理由は、ふたつ。

 

ひとつは、今そして未来の自分を、何らかの形で救ってくれるものであるから。

 

 そしてもう一つが、言葉に想いを乗せて伝えることで、何かが変わる気がするから。

 

 だから、どれだけ拙くても、表現しきれなくても、とにかく自分の言葉で、自分の想いを見えるようにする。伝えるようにする。

 

 あるいは、それは今の僕に課された使命のようなものなのかもしれないのです。

 

 あと何日、何週間、何年生きることができるのか、そんなこと誰も知らない。けれども、病人であろうがなかろうが、人はそもそも、「限られた時間の中」を生きているんです。

 

 「伝える」ということに必要なのは、語彙力でもなければタイミングでもない。

 

 限られた「一生」のなかで、少しでも多くの想いを届けたい、ただそういう気持ちだけでいいんです。伝える場所とか、方法とか、そんなの二の次でしょ。別に、それ自体が綺麗な形をしてなくても良くないですか? ぐちゃぐちゃのままでも、とりあえず伝えてみませんか?

 

明日やろうは、「バカヤロウ」です。

いつのまにか大人になって、いつのまにか素直に表現することを忘れた、全ての人達へ。

 

 

 

 

 

 体裁は気にしなくていい。伝えられるときに、ちゃんと伝えた方がいい。

 

 

 

 

 

 

 帰宅できたので、久しぶりにピアノを弾いてみました。夏といえばこの曲ですよね。ぜひ、あなたの小学生時代の夏休みを思い出しながら、聞いてみてください。

 

 純粋に想いを伝えられた、あの頃の気持ちを忘れることなく、また来年も夏を過ごせますように。

 

 それでは。

 

 映画「菊次郎の夏」より久石譲作曲、「Summer」。

 

youtu.be

 

 

B-ALL

 

 皆さんこんばんは!

 僕はここ1ヶ月で体重が9キロ落ち、再び腹筋が綺麗に割れてきました! ライザップ! 

 

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 ちなみに京大病院のリハビリルームには InBody770 とかいう超お高い体組成計があります。

 

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こちらの機械、お値段税込330万円です。 330万円ですよ!

 

 というわけで計測してもらいました。結果はこちら!

 

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体重52.1kg に対して 筋肉量 45.3kg、

体脂肪率は7.8%でした! 骨格筋率51%!

割と優秀やんけ!

(体型評価は「筋肉型スリム」でした。細マッチョって書けよ。)

 

まぁでも序盤です。夏本番に向けて、ここから仕上げていきます。腹直筋と大胸筋と広背筋メインでいきます。

リハビリルームでV字腹筋とか懸垂とかしてるやつがいたら僕です。ほっといてください。

 

 

さてさて。

 

 正式に病名が決定したので、これ以降は現在の病状と共に(割と真面目に)お伝えしていこうと思います。

 

 以前の闘病記の記事では、僕の病気は「バーキットリンパ腫」だと書きました。「バーキットリンパ腫」というのはある程度成熟したB細胞が癌化して起こるものです。

 

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 一方、それより手前の若い状態で癌化している場合は、「リンパ腫」ではなく「白血病」になります。どうやら僕は「白血病」みたいです。

 ま、どうせなら「白血病」の方が名前カッコええやん(笑)

 

 

 詳しくは過去の記事をどうぞ。

fight.hatenablog.jp

 ↑        ↑        ↑

 

 

 

ちなみに、病理検査の結果はこんな感じでした。

 

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「再構成を認めない」

 

 「遺伝子再構成」とは、抗体の遺伝子(免疫グロブリン)の組換えのことです。今から猿でも分かるように説明します。

 

 

〜猿でも分かる! これが「遺伝子再構成」〜

 

 そもそも、外界から侵入してくる病原体は無数に存在しているにもかかわらず、どうして私達はそれらに対抗する「抗体」を用意することができるのでしょうか。この鍵を握るのが、「遺伝子再構成(遺伝子再編成)」です。

 

 

遺伝子の再構成について話す前に、まず順を追って「B細胞」から話します。B細胞のBは “Bone marrow” 、すなわち「骨髄」からきています。B細胞は血液中を流れる白血球のうち「リンパ球」と呼ばれるもののひとつで、骨髄で作られます。リンパ球のおよそ20〜40%を占めます。

 

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 B細胞の主な働きは、「外敵(病原体)と闘う抗体を作ること」です。このとき、ひとつのB細胞ではひとつの抗体しか作れないので、抗体の遺伝子を組み替えて病原体に備えます。これが「遺伝子再構成」で、これにより数億種類の抗体を生産することが可能になるのです。

 

 

 さらに具体的な話をすると、B細胞の表面には「病原体」を認識する「抗原レセプター」があります。これが 「免疫グロブリン」です。つまり「免疫グロブリン」は、ひとつに対して一種類の病原体しか認識できない、ということになります。そこで「免疫グロブリン遺伝子」の「遺伝子再構成」によって、様々な種類の免疫グロブリンを産み出し、数ある病原体に対抗してやろう、というのが「遺伝子再構成」の趣旨なわけです。

 

 ちなみに、この「遺伝子再構成」のメカニズムを解明したのが、かの有名な利根川進博士で、1987年にノーベル賞を受賞しています。この発見は、20世紀最大の生物学的発見と高く評価されています。もちろんもちろん京大卒です。

 

 

さらに余談ですが、B細胞の一部は「記憶細胞」として残ることも知られています。一旦病原体を退治した後も、一部のB細胞は記憶細胞として残り、次回同じ病原体が侵入してきたときに素早く攻撃できるように備えているのです。これが、いわゆる「免疫が付く」というやつです。有名な話ですね。予防接種も、この免疫記憶を利用していますが、これはB細胞由来の話だったということですね。

 

 

 さてさて。このへんで話を戻します。

 

 

「再構成を認めない」とはどういうことか。

つまり、僕の癌化したB細胞の表面にある「免疫グロブリン遺伝子」に、再構成は見られなかったよ、ということです。

 

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 免疫グロブリン遺伝子の再構成は、B細胞の成熟(分化)と共に数段階に分けて起こります(この部分はマジでノーベル賞級に難しいので割愛します)。そして、その数段階のどれも起こっていなかったよ、ということなんです。つまり、癌化したB細胞は若かった。ということは、成熟B細胞の癌化によって起こる「バーキットリンパ腫」ではなく、さらに若い段階のB細胞性の病気である、と結論付けられるのです。

 

 

 

 すると病名はこうなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「急性リンパ性白血病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えらいカッコええ名前やんけ(笑)

 

 

 

ちなみに、もう少し病名を具体的に言うと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ph(-) B-ALL

 

 

フィラデルフィア染色体陰性・

前駆B細胞性急性リンパ性白血病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっとカッコええやんけ(笑)

 こんなカッコええ病名ある?

 

 

 

 

 

注: フィラデルフィア染色体

9番染色体と22番染色体の相互転座によって形成される異常染色体。これが陽性(存在)の場合、長期無病生存率は10%と言われている。急性リンパ性白血病においては15〜30%の患者にみられる、最大の予後不良因子。陰性やったし取り敢えず安心。

 

 

 

  ということで、「バーキットリンパ腫」じゃなかったので、この前言ってた「CODOX-M/IVAC療法」はCODOX-Mを終えた段階で一旦打ち切り、次の治療に入りました(じゃあ、このCODOX-Mは無駄だったのか? というとそうでもなく、リンパ腫であれ白血病であれB細胞性であることに変わりはないので、しっかり効いてくれました)。

 

 新しい療法名は、「B-ALL 213」です。

 

 (えらいカッコ悪い名前やんけ)

 

 

ちなみに、このB-ALL 213 (正式にはJALSG Ph(-) B-ALL213) 、つい2年ほど前まで国内臨床試験での安全確認が行われていたほどの新しい療法で、まさに最先端の医療って感じです。

 

使用する主な薬剤はキロサイド、エトポシド、デキサート、ロイナーゼ あたりです。

 

 僕はこれまでの治療でCR(Complete remission, 骨髄の完全寛解)が得られたので、ここからB-ALL 213のレジメンに従って数ヶ月間の地固め療法に入り、骨髄移植を待ちます。

 

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 とりあえず治療は上手く進んでいます。寛解導入療法は今週で終わりなので、とりあえず何日間か家に帰れるかな〜。湯船に浸かりたい!

 

 7月の空気を吸わずに7月最後の日を迎えました。とりあえず今週頑張ろ。週末何しようかな〜。

 

 

まだ生きてるぞ〜(笑)

 

 

 

最後に利根川進博士の言葉を。

 

捨てることが、熱意を生み出す。

人生にとって最も大切なのは、その時々の何が最も重要な事柄であるかをよく考え、そこに全エネルギーを集中させ、その他のことは切り捨てること。

何をやるかより、何をやらないかが重要だ。

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 おやすみなさい!

 

謝謝!

皆さんニーハオ!(僕は中国語を2年も取ってたので「ニーハオ」が喋れます!)

 

ニーハオとシェイシェイ以外は忘れました!「皆さん」って何やったっけ。

 

 俺に単位くれずに中国語もう1年再履修させてくれた教授、謝謝!

 

 さてさて。

 

 この「或る闘病記」、なんとなんと今月のアクセス数が2万回を超えました! いや1日700回もアクセスあるん? 俺そんな頻繁に更新してへんって。誰やねん何回もアクセスしてる暇なやつ(笑)

 

(たまに「ブログって収益化してるん?」とか聞かれるけど、そんな方法あるんやったら教えてくださいよって感じです)

 

 とりあえず今月は2万回もアクセスがあったので当人はとても喜んでます。これがどれだけ凄いかと言うと、僕の母校であり(自称)奇跡の進学校でもあるH川高校のHPよりアクセス数が多いです。H川高校のアクセス数はせいぜい1日500回です。校長先生マジでもうちょっと頑張ってください(笑)

 

 

 いやでも嬉しいな〜、これは。本当にありがとうございます。

 

 

 

 そしてどうやら、真面目に調べて3時間かけて書いた記事よりも30分でふざけて書いた記事の方が人気なんですよね。世の中ちょろいなぁ。

 

 というわけで、今日もふざけた記事なんで脳味噌チンパンジーのままでよろしくお願いします!  猿の人は頑張って付いてきてください!

 

 

 

 

 本日のお題はこちら!

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本における医療保険制度ならびに入院時の高額諸費用に関する問題についての考察」

 

 

 

 

 

 

です!

 

 

 

 

 

チンパンジーでも分かるように言うと

 

 

 

 

 

「何で京大にこんなお金払わなあかんねんボケ!」です。

 

 

 

 

 

 日本は1961年に国民皆保険制度を導入し、すべての国民は何らかの公的な医療保険に加入することが義務付けられています。これにより、医療費の自己負担額は3割(6歳以下ないし70歳以上は2割、75歳以上は1割)となりました。いわゆる「3割負担」ですね。

 

 ところが、負担額3割になるのは医療費だけなんです。個室代(差額ベッド代)や食事代等は10割負担なんですよね。

 

 さてチンパンジーでも分かるように、つい最近いただいた僕の先月の請求書をお見せしましょう。

 

 僕は6月28日に入院したので、6月分の請求というのは、6月28〜30日までの3日間の入院費用ということになります。

 

 

 さぁ、3日間の入院費は、一体いくらでしょう?

 

 A. 3万円

 B. 5万円

 C.10万円

 

 

 

 

 

 

 正解はこちら!

 

 ドン!

 

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19万3,560円でした! 全員ハズレ!!!

(ちなみに3割負担額+個室代・食事代等がこれで、実際の総医療費は51万3,980円です! 7割分の差額32万円は税金で支払われます!)

 

いや、それにしても3日間で20万って何やねん!

ここはホテルオークラかな?

 

 

 しかも写真よく見てください! 京大生やと分かると思うんですけど、入院費の振込用紙が学費の振込用紙と同じなんです。振込先はもちろん「国立大学法人京都大学」ですよ。なんで京大に3日で20万も払わなあかんねんボケ! 

 

(ちなみに我が家は京大に既に学費として200万、医療費は300万くらい納めてます。私学かよ。そら総長ゴリラ呼ばわりしてもバチ当たらんやろ!)

 

まぁ個室代1日1万8,000円(10割負担)ってのも高いっちゃ高いんですけど、世の中にはもっと恐ろしいものがありまして。

 

 

 「抗がん剤」ってやつなんですけどね。

 これめっちゃ高いんですよ。

 

 

例えば僕の使った抗がん剤で言うと、

 

オンコビン                 1mg            2,826円

ドキソルビシン        50mg            4,968円

メソトレキセート         1g       4万1,081円 

リツキサン                 0.5g     21万3,815円

 

などなど。

 

 いやまぁ命はお金に変えられへんけどもね!!

 

 

 

例えば僕の場合、メソトレキセートは7月13日に4,768mg 使用したので、たった1日だけで19万6,000円です(笑)

 

リツキサンは7月19日に600mg使用したので、これは1日で何と25万7,000円になります(笑)

 

 

 いや600mgで25万円って頭おかしいやろ!

 コカインでも1gで2万円くらいやぞ!

 全然、麻薬の方が安い!

モルヒネは1本5,000円、今使ってるフェンタニルは1本1,000円くらいです)

 

1gで40万円やと、金とかプラチナなんてレベルじゃなくて、プルトニウムあたりの値段ですよね。オンコビンに至っては、1g換算すると300万円ですよ!

 

 

 ちなみに、輸血も恐ろしいほど高くて、例えばこの血小板1袋、2時間で滴下するんですが、いくらでしょう?

(みなさんの献血で作られたやつです)

 

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正解は、1袋で7万9,478円です!

ルイ・ヴィトンの財布が買える!

そりゃ、落とした研修医を怒りますよ〜

ルイ・ヴィトン落とされて怒らへん人います?

 

 

これを1日2本とか3本とかやってます。

 

 

 今月の請求恐ろしいなぁ、、、

 

 

 

 

 

 

と、こんな感じで書くと「どうやって払うん?」みたいになると思いますが、ここから紹介するのが「これぐらいで勘弁したるから払ってくれや!」制度です。

 

よく知られた「高額療養費制度」ってやつですね。

 

 被保険者(親)の年収が1,160万以上なら1ヶ月の上限は25万円強、770万〜1,160万なら17万円弱くらいにしてあげるよ〜、みたいな感じです。

 

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 しかも、4ヶ月目以降からは更に安くしてあげるよ〜って感じになってます。これなら払えるね。

 

 でも、「安くしてあげる」というのは、「あとで返してあげるよ」って意味です。だから、京大にはどのみち何十万円、何百万円って払わないといけないんですけどね。

 

 (払えない人のために、無利子でお金を借りれる制度も存在します)

 

 

その他にも、20歳以上なら障害年金が貰える可能性もあったり、入院保険が意外と降りたりして、結構助かってます。(入院保険はホンマに元取ってるんちゃうかな)

 

 

 とまぁ、日本の高額医療費の現状と、医療費制度の紹介でした! 入院するときは参考にしてね!

 

 

 病名が新しくなって確定したので、また後日紹介します! それでは今日はこの辺で!

 

 

僕はみんなの税金と社会保険料で生かされてます!

今月の総医療費は200万円くらいかな!

払ってくれてありがとう日本!

謝謝!

 

 

 

ウホウホ、ウホ!

 

 「お前の闘病記難しすぎるねん!」

 「病気について書いてくれてるのも嬉しいけど、もっと入院生活についても書いてよ!」

 

 などなど、数々の苦情が山のように寄せられている本闘病記ですが、今日は期待に応えてゆる〜く行きたいと思います!

 

 

 

 お見舞いに来てくれた人は分かると思うんですが、僕は結構元気にしてます。多分祇園祭の中、死んだ魚の目で居酒屋バイトに勤しむ大学生よりは元気です。

 

 

 どれくらい元気かというと

 

 ・もらったお見舞いの品で看護師さんを餌付けする

 ・患者さんとオールスターゲームを見ながら「松坂ふざけんな!」とヤジを飛ばす

 ・患者さんと仲良くなってアイスを4つ奢ってもらう

 ・研修医に大声でブチ切れる

 

くらいには元気です。

 

 

 

 研修医にブチ切れる?

 

 いやぁ久しぶりにキレましたね(笑)

 

 

大学病院には、研修医制度というのがあって、医学科を卒業して医師国家試験に合格した医者達が、初めの2年間ほどを、数ヶ月単位で様々な科を回りながら 経験を積んで行くんですが。

 

 

 今回の入院で付いてる研修医、ひどい。

 

 

 どんな感じかというと、イカ京(いかにも京大生、の略)で、小太りの眼鏡、無精髭、ちょっと臭う、みたいな感じで、別にそれはいいんですけど、

 

 コミュニケーションは最低限、輸血で血を撒いてベッドを汚す、輸液のポンプの使い方知らんのに勝手に触る、俺の血管めっちゃ太いし簡単やのにライン取るの失敗する、失敗した挙句血を撒いてベッドを汚す、もちろん血管は使えなくなる、使えなくなって腫れてるのに「抗生剤打ってるので大丈夫です」とか言う、中心静脈カテーテルも入れるん失敗したのに何も言わへん、あーもう挙げたらキリがないねん。

 

 ほんで昨日ですよ。奴はやりました。

 

 輸血の血小板を落としたんですわ。

 

 マジで。

 マハトマ・ガンジーでも助走付けて殴るよ。

 

 

 大部屋で、自分でも驚くほど大きな声で

 

 

ふざけんな!

 

 

って叫びました(笑)

 

いや、前にもそんな置き方したらあかんって先輩から注意されてるやんけ。

 俺が年下やからってなめてんのか。

 輸血の意味分かってんのけ?

 善意で献血してくれてるんやぞ。

 だいたい、俺はこれがなかったら死ぬんや。

 お前が血小板を落とすっていうのは、俺の命をぞんざいに扱ってるも同然なんじゃ。

 白血病のステージⅣって診断されて、それでも生きるって決めて、それやのに研修医にそういう態度で臨まれる、そんな患者の気持ちちょっとでも考えたことあんのけ?

 適当に医者やるんやったら今日で辞めてくれ。

 血小板落としただけとか思ってるんやろうけど、そういう態度でやってると、いつか死人が出るねん。

とにかくもう帰れ!

 

 

 みたいなことを言いました。

 至極真っ当じゃないですか?

 

 

 (僕がキレるのは倫理的な問題がある時と文化祭の時くらいです。)

 

 

 

 まぁでも、いくら年上とはいえ、言わないといけないことはキッチリ言うべきです。

 

 

 

 は〜 ストレスストレス〜

 

 

 

 

 僕は何とかしてこのストレスを取り除かないといけないな、と思いました。

 

 というのも、癌の主たる原因はストレスによるDNA修復異常あるいは染色体異常だと言われているからです。

 

 どうしようかなぁ。

 

 

 そんなとき、あるものが目に飛び込んできます。

 

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 マッサージチェア

(病棟にあるんですよね。血液内科の特権です)

 

 ウィンウィン〜。

 

 

 

 

 

 

 

いやこんなもんでストレスほぐれるかい!

 

 

 

そんな簡単にストレスほぐれるんやったらWANIMA聞いて癌が治るぞ!

 

(WANIMAファンの皆さんホンマにすみません)

 

 

 

 

 ストレス解消は運動に限る!

 

 こっちやろこっち!

 

 

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エアロバイク〜

 

これで一汗流すぞ〜

 

(このあと無茶苦茶漕ぎました)

 

 

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あのクソ野郎!と思いつつ、

 

100W・毎分100回転で

 

30分間で15km 漕ぎました。

 

時速30kmですよ。

 

 

想像してみてください。

 

白血病患者が、腹いせに時速30kmで汗まみれになりながらバイク漕いでる姿。

 

瀬戸内寂聴でも「もう辞めなさい!」って言いますよ。

 

 周りの患者さんも看護師さん達もドン引きしてました(笑)

 

 担当医は「おいおいヘモグロビン健常者の半分やぞ〜」って笑ってました。

 

主治医に15km漕ぎましたって報告したら白目剥いてました(笑)

 

そらね、単純に言うたら酸素運搬能力が常人の半分ってことですからね。アホかよ。

 

 

 

 

 

 さてお昼ご飯の時間です。

 

 昨日のお昼はなんと!

 

 

 

 

 

 

 

 

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 握り寿司!

 

 しかもイクラとアナゴがある!

 

 これには山極寿一(京大総長)もビックリですね!

「ウホウホ!ウッホホホ!(なんで京大の食堂には寿司ないのに病院にはあるねん!)」とか言いそう。

 

 馬鹿にしてるわけじゃないですよ。山極さんはマジでゴリラと何年も生活してたのでゴリラ語が喋れます。ただのゴリラです。

 

 

 何の話やっけ。そう、お昼ご飯は握り寿司でした。

 

 夜のメニューが怖い。

 

 いやぁ、こういう時って、世の中の暗黙の了解みたいなのがあって

 

「お昼いいもん食べたんやから夜はお野菜ね!」

 

 のお決まりな感じなんですよね。

 

 さて夜のメニューを見てみましょう、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ヒレカツぅ!

 

 そろそろ山極寿一がアップを始めそうです。

 

 

 

ふざけ出すと止まらないので、偉い人が来る前にこの辺で辞めておきます(笑)

 

 

 最後にお知らせを。

 

 昨日HLAの型がでました!

白血球の型、のやつです。

(分からない人は過去ブログ読んでね)

 

 

 

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じゃん!

 

 HLAには座(遺伝子座)とよばれる領域があり、このうちA座、B座、C座、DR座の4座8抗原の一致が骨髄移植には重要だと言われています。

それからアリルと呼ばれる対立遺伝子もあって、、、

 

 

 あ、あかん。

 今日はゆる〜く行くんやった。

 説明省略〜。

 

 

 とりあえず出てきた結果を「造血幹細胞移植サービス」の検索にぶち込みます。

 

ドナー数、36万人いるし大丈夫やろ!

 

 えい!

 

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2人やんけ!

 

36万人もおって2人かよ!

 

まぁおったしええわ!

 

(分かったやろみんな! 意外とおらんねん! だから骨髄ドナー登録してな!)

 

 

 

 それでは今日はこの辺で!

 

 

 ウホホウホ〜(おやすみなさい〜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dogma ードグマー

 

ドグマ。

 

日本語では、教義・教条などと訳されます。

固定された堅固な信条のことです。

 

 

 生死の境で生きる患者達には、あるドグマがあります。

 

 

 

それは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 病とは、不幸そのものではない」

 

 

 

 

 

 

 

というものです。

 病によって、気付かされることが沢山あることを知っているからです。

 僕にとっての病とは、”幸福な試練” です。

 自分がどう生きてきたのか、どう生きるのか、それを試される時間です。

 僕がもし恵まれぬ生き方をしてきたのなら、この試練も不幸なものになったのかもしれない。

 でも僕は、20年間を通して、数多くの尊敬できる人々や、支えてくれる仲間達と出会ってきました。

 それが、この試練さえも、むしろ幸福な時間にしてくれるんです。

 毎日のように誰かが来てくれて、たわいもない昔話で馬鹿笑いして、帰って行く。

 その度に、幸せだなぁ、と思うんです。

 このドグマは、おそらく生死の境を生きる者にしか理解しえないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。

ドグマはドグマでも、今日は生きとし生けるものに授けられた、あのドグマの話をします。

 

 

そうです。

セントラル・ドグマの話です。

 

 

 

 生物選択者ならずとも、一度は耳にしたことがあると思います。

 

 

 

 セントラル・ドグマとは、1958年にフランシス・クリックにより提唱された、分子生物学の大原理のことです。

 

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 大雑把に言うと、私達の身体を構成するあらゆるタンパク質が、DNAを基に、RNAを介して生成されている、という一連の流れのことです。

 

 私達の身体は、約60兆個の細胞で形成されています。その細胞の集まりが組織(例えば筋肉)であり、組織の集まりを器官(例えば心臓)と呼んでいます。

追記: なんか2013年に試算されたらしく、学術的には人間の細胞数は37兆個とされてるらしいです)

 

 つまり細胞は、身体の構成要素の根幹とも言えます。

 

 (何でこんな噛み砕いてんねん舐めんなよって方へ、後で後悔するレベルで難しいこと言うんで最後までついて来てくださいね!)

 

 

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 細胞のうち70%は水分で形成されています。そして次に多いのが、タンパク質です。このタンパク質こそが、その細胞の性質を司っています。

 

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 タンパク質は、細胞内で作られます。つまり、このセントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)は、細胞内での話なのです。

 

 因みに、セントラルドグマは、提唱されてから60年で変遷を遂げ、現在はこんな感じになってます。これについて話すと無茶苦茶時間かかるのでやめます。今日は「複製」だけについて書きます。

 

 f:id:GUCCHi:20180713142155j:image

 

私達の細胞は、分裂を繰り返すことでその数を増やします。この時、細胞内のDNAも、分裂前と同じものを受け継いでいます。これをDNAの複製と言い、細胞は、分裂前に一揃えのDNAをコピーすることで2倍に増やしてから、分裂の際にそれぞれの細胞へと同じDNAを格納しているのです。

 

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まぁ大学受験で生物選択した人は何てことない話ですよね。ここは重要じゃないんで飛ばします。実を言うと僕もよくわかりません。

 

 

 でも最初はたった1つの細胞から始まった私達の身体が、こんなセントラルドグマを通して60兆個の細胞に発展していくの、凄いですよね。

 

 

 

 さて、ここから今日の本題です。

 

 

 

 このセントラルドグマ、普通にミスるんです。

数字で言うと、「複製」を10億分の1の確率でミスります。

 

 60兆個も細胞あるのに10億分の1でミスるの、結構ヤバくない?

 

 2017年のNature誌に掲載された米国チームの研究によれば、癌を引き起こす原因の3分の2近くは、このDNAの複製エラーによるものであるとされています。

 

一方で、この複製ミスによって出現したエラー細胞も、殆どは「死滅」という道を辿る、というのも事実です。この細胞の死は「アポトーシス」と呼ばれ、予め遺伝子で決められたメカニズムによって半ば自殺的に細胞は死滅するのです。こうして、古い細胞は新しい細胞と入れ替わっていくのです。例えばオタマジャクシの尻尾が消失したりするのも、その一種だと考えられています。

 

 ところが、稀に、複製エラーによって「アポトーシス」のプログラムがなくなり、「自殺」できなくなることがあります。こうなると細胞は増殖だけを続け、薬剤で死滅させない限り身体のエネルギーを奪い続けます。

 

これこそが、癌です。

 

 

 為になる話ですね〜(自分で言うなよ)

 さらに専門的になるんですが、最後まで読んでくださいね、、、

 

 

 じゃあお前も複製エラーなん?

 と思ったそこのあなた。

一昨年の癌は、複製エラーです。正解です。

ところが今回は、複製エラーではありません。

 

今回は、「転座」です。

 

 

てんざ〜

 

 

 

転座とは、いわゆる「染色体異常」です。

 

ここで「DNA」「染色体」「遺伝子」の3つがこんがらがってきた人も多いと思うので、整理します。

 

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塩基対の持つ情報を遺伝子、塩基対を介して2本のポリヌクレオチド鎖が二重螺旋構造を取っているものがDNA、このDNAが折りたたまれたものが染色体です。

 

 そしてDNAの複製エラーが癌、

 染色体の転座が白血病なのです。

 

(厳密には違います。こういう言い方すると偉い人が飛んできて怒るかなぁ)

 

 次に、「転座」について詳しくみていきます。

 

 

 みなさんご存知の通り、人間には1番染色体〜22番染色体と、X染色体・Y染色体の合わせて46本の染色体が存在します。

 

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 この46本の染色体のうち、いずれか2本が途中で交換されてしまうのが、「転座」です。

(どうして転座が起こるのかは、未だに分かっていません)

 

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 転座が起こった異常な染色体が、セントラルドグマの中に組み込まれて転写・翻訳されることで、異常なタンパク質が生成され、異常な細胞となる。これが白血病やリンパ腫のメカニズムだと言われています。

 

例えば、「バーキットリンパ腫」の場合は、その80%において、8番染色体と14番染色体の相互転座によってB細胞に発癌します。

 

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具体的には、免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子とC-MYC遺伝子の切断によるものです。

 

 

これによりC-MYC遺伝子が過剰発現している状態が、バーキットリンパ腫/白血病の特徴だと言われています。

 

 ところが。

 

僕の場合は、その80%に入っていませんでした。

 

つまり、8番染色体と14番染色体の相互転座は見られなかった、しかしながらC-MYC遺伝子は過剰発現していた、ということらしいです。

 

「なんでなんですか?」

 

って主治医にも担当医にも聞きましたが、「分からん」って言われました。おそらく、バーキットリンパ腫/白血病と、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の中間に位置する病態だからかな? もう研究の領域だそうです。

 

 研修医にも聞いてみようかな〜(笑)

 

 

ここまで読んでくれた皆さんは、多分バーキットリンパ腫白血病について、担当研修医(京大医学部卒)より絶対詳しくなりました。

 

 

 最後に。

 

よく聞かれるんですよね、「今回の病気と前の病気、関係あるん?」って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ないです。

京大病院によるカンファレンスの結果、結論は「関連性なし」でした。

 

そもそも、抗がん剤を使用したことによる二次性の急性白血病なら、B細胞性ではなく骨髄性のものになるとか何とか。

 

 「論文も沢山漁ったけど分からん。ここまで来ると研究の領域やね」と言われました。

 

 

いや、前の病気100万人に1人、

今回も100万人に1人

単純計算したら1兆人に1人やぞ!

 

 

何やこれ!

宝くじ買おかな!

 

 

という今日の闘病記でした!

難しかったですね!

最後まで読んでくれてありがとうございました!

また更新します!

さよなら!